りそな コエドテラスプロジェクト

時を超える街に集う 人とりそなの 架け橋に

#PROJECT STORY

PROLOGUE

埼玉県川越市。蔵造りの日本建築が建ち並び、歴史が息づく“小江戸の街”の中心部に佇むのが、埼玉りそな銀行旧川越支店です。大正時代に建てられ、街の中で異彩を放つ洋風建築の美しい姿は、国の登録有形文化財として埼玉県で最初に登録されるなど、長年にわたり地域の方々から親しまれてきました。現在は、地域のコミュニティを活性化させ埼玉・川越の魅力を発信する拠点、「りそな コエドテラス」として新たな時を刻み始めています。今回は「りそな コエドテラス」プロジェクトの企画・立ち上げに携わったR.K.に話を聞きました。

  • R.K.

    (宮城県出身)

    埼玉りそな銀行
    経営企画部
    2013年 新卒入社

    2013年に新卒入社し、営業担当として2支店で勤務した後、2020年に店舗企画などを担う営業サポート統括部に配属され、「りそな コエドテラス」プロジェクトをけん引した。埼玉りそな銀行の100%子会社「地域デザインラボさいたま」の設立準備や設立後の出向を経て、現在は経営企画部にて財務企画に従事している。

Chapter 01 「地域のコミュニティを活性化させ、
人々から愛される場所をつくりたかったんです」

決まっているのはリミットだけ、
先の見えない手探りでの船出

私がプロジェクトを任された段階では、川越支店の移転時期が決まっているだけで、残される建物をどう活用するのかなど一切白紙の状態でした。一刻も早く活用の方向性を定め、どのようなコンセプトの施設とするのかを、社内外へ示さなければいけないという差し迫った状況からプロジェクトは始まりました。とは言え、2020年4月に店舗企画チームに配属されたばかりで、通常の銀行店舗の移転の経験すらなく、店舗をつくり変えるという経験は言うまでもない状況。まず何から手を付ければ良いのかわからないながらも、とにかく走り出したというのが実情でした。

社内外からの協力を得ながら、紆余曲折を経て、現在の「りそな コエドテラス」のコンセプトに繋がる「人と銀行を繋ぐシンボルを起点とした、地域の魅力発信とコミュニティの創出」という考え方が出来上がりました。このコンセプトが生まれたのは「埼玉の良いところをもっと知ってほしい」と考えたのがきっかけです。埼玉の方々は魅力が見えにくいことを面白おかしく話す印象がありますが、外からの目線を持つ私には、「実際には魅力にきづけていないだけなのでは」と感じられました。だからこそ、「りそな コエドテラス」という場所を、県外から訪れる方はもちろん、埼玉に住む方にとっても、魅力を再発見できる場所にしたいと思ったんです。

また、江戸の物資集散地としてさまざまな産業が栄えた川越という地で、埼玉りそな銀行は金融面からそれを側面支援してきました。銀行店舗だった建物を活かしつつ、今後も新たな産業創出や育成支援を行い、産業面からも地域の魅力を発信していきたいと考えました。こうしたコンセプトが評価されたことで、それまでの店舗企画の一プロジェクトから、本部部門横断での全社プロジェクトに発展。社長を含む経営層も本プロジェクトを経営課題として捉え、埼玉りそな銀行全体をあげた重要なミッションとなっていきました。

Chapter 02 「大事にしていたのは、コエドを愛する人たちと同じ目線、
同じ思いで対話すること」

いろいろな価値観を持つ方々の思いに、
できる限り寄り添う

コンセプトに基づく施設の具体的な活用方法の検討や、それに共感していただける協働事業者の探索だけではなく、老朽化に伴う建物自体の耐震性・安全性の確保、文化財保護法・銀行法などの複雑な法規制への対応など、開始当初から多岐にわたる課題が山積していました。中でも一番時間をかけて取り組んだのが、地域で暮らす方々や川越支店を中心としたお取引先、行政機関、観光協会、商工会議所といった関係各所の方々とのコミュニケーションでした。「りそな コエドテラス」の建物は、銀行の店舗でありながら、大正時代から川越で親しまれてきた特別な建築物であり、文化財でもあります。そのため、私たちの意向だけでは周囲のみなさまの理解は得られませんし、強引に進めるようなことがあれば大きな反発を招くことにもなりかねません。それぞれの立場からの意見に耳を傾け、その上で、私たちが描く「りそな コエドテラス」のあり方や役割を説明していく。すべての方の理想の姿を実現することはできなくても、一人でも多くの方が納得感を持てるように。その思いを常に持って、対話を続けていきました。

川越の方々と会話を重ねる中で気がついたのが、「地元への愛」が本当に深いということ。“小江戸”の名の通り今も風情が色濃く残る街並みと、そこで暮らす人たちの生活は、重ねてきた歴史と直結しています。「自分たちが積み上げてきたものを次の世代へ」という思いをお持ちの方が多いからこそ、私たちへ寄せられる期待と責任は重く大きいものでした。そのため「私自身も川越を知り、同じくらいの熱量を持たないといけない」という意識を持つように。自治会などの地域の会合に何度も参加して、街や川越氷川祭の歴史をお聞きしたり、建物をどのように活用していきたいかをご説明したりするなど、地域に積極的に携わるようになっていきました。

地域へ足を運んでコミュニケーションを重ね、一つひとつ得ていった知識や経験が、日々の会話の端々にも自然と表れるようになったことで、当初は距離を感じていた方々からも「あなたならわかってくれる」「安心して任せられる」と言う声をいただくことが増えていきました。地域の方々から受け入れてもらえた、と実感できたことは、プロジェクトを通じて得られた大きなやりがいの一つです。

Chapter 03 「歴史の息づく街にりそならしい価値を積み上げ、
次の未来へと紡いでいく」

これまでの100年を大切に、
これからの100年の中心となるような場所

川越は埼玉で屈指の観光地でもあります。その中心街に新たなランドマークとして生まれる施設ということもあり、自治体からの期待も大きいものがありました。市長をはじめ、県の要職の方との協議を通じて、社内で業務していただけでは得られなかったであろう新たな視点も身についたと感じています。自分が先頭に立ち、ゼロベースから企画を立案し、変化に対する仮説を立て、筋道を考えながら実行していく。プロジェクト全体を通じて得られた経験と自信は、現在の財務企画の業務でもとても力になっています。新たなポジションでも、埼玉りそな銀行のこれからをより良くしていきたいですね。

今回久しぶりに「りそな コエドテラス」を訪れることができました。たくさんの方たちの笑顔を見ることができ本当にうれしく思っています。ここには、埼玉の食材を使ったレストランやセレクトショップなど埼玉の魅力を発信する施設が充実しています。また、長年にわたり地域経済を支えてきた銀行としての姿を直接目にすることができるスペースのほか、共創やインキュベーションのためのコワーキングスペースなどは、埼玉りそな銀行だからこそつくることができたと感じています。ぜひ多くの方に訪れてもらいたいですね。

実は、建物が建てられた時期と川越市が生まれた時期は近く、100年以上にわたって歩みをともにしてきました。長年にわたり紡がれてきた歴史の上に、さらなる価値を積み上げ未来へと繋いでいく。この「りそな コエドテラス」が地域のコミュニティの中心となり、地元の魅力をたくさんの人々に届けながら、これからの埼玉・川越の100年を彩る新たなシンボルへとなっていってほしいと思います。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです。