パーパス制定プロジェクト

りそなグループのこれからを 13文字のワードに込めた パーパス制定プロジェクト

#PROJECT STORY

PROLOGUE

「金融+で、未来をプラスに。」2023年にメディアリリースされたりそなグループのパーパスは、金融に軸足を置きながら、金融の枠にとどまらない発想で新たな付加価値を追求していく、という未来への広がりを表現しています。この言葉の制定には、多くの対話と協議の積み重ねがあったのです。

  • N.F.

    株式会社デジタルガレージ
    コーポレートディベロップメント部
    2007年入社

    2007年、新卒採用で埼玉りそな銀行へ入社。約10年法人営業に従事。2018年1月にりそなホールディングス グループ戦略部へと異動し、グループの経営計画策定などに携わる。2022年4月より、2023年度からのグループの中期経営計画策定及びパーパス制定を主導。2024年4月からは、資本業務提携先である株式会社デジタルガレージに出向中。

  • H.H.

    りそなホールディングス
    グループ戦略部
    2016年入社

    2016年、新卒採用でりそな銀行へ入社。約6年法人営業と融資業務に従事。2021年7月にりそなホールディングス グループ戦略部へと異動。2022年4月より、2023年度からのグループの中期経営計画策定に向けた検討チームに所属しながら、同時並行的にグループのパーパス制定に向けた担当者となる。2023年7月からは、グループ会社の経営管理業務に携わる。

Chapter 01 「パーパスとは」(N.F.)

りそな再生の 20年から、
リテールNo.1の実現に向けた 20年へとギアチェンジするために

私たちグループ戦略部の重要な仕事の一つに、経営計画の策定があります。その中でも特に、2023年-2025年の中期経営計画策定には熱が入っていました。2023年は、いわゆる「りそなショック」から 20年の節目を迎える重要な年だったからです。困難を乗り越える20年の過程で新しいメンバーが次々と入社し、また、関西みらい銀行、みなと銀行も加わり、りそなグループの形は大きく変化しました。

これからの20年の過ごし方は、今までの20年とはまったく違うものにする――社内外にその決意表明をしたいと考えていました。その手段として持ち上がったのが、パーパスの制定です。りそなグループがこれからの社会の中でどのように貢献するかを社内外の誰にとってもわかりやすい、親しみやすい言葉として表現すること。タイムリミットとなる公表時期は2023年の春。およそ1年にわたるプロジェクトが動き出しました。

私を含め、パーパス制定の経験者が社内に一人もいない状況でしたので、手探りの中で一つひとつ取り組んでいくしかありませんでした。プロジェクトは終始波乱の連続でした。りそなグループのアイデンティティの言語化、ワーディングとその意味づけ、理念体系の整理など、やるべきことは山ほどありました。それらの一つひとつについて、経営陣をはじめとした関係者を巻き込み、あらゆる議論を交わしていきました。

Chapter 02 「今までとこれからのりそなを表すワードという
形のない正解を探し求めました」(N.F.)

こだわるべきところ、変化すべきところ
どちらの視点も譲らず辿り着いた答え

まず着手したのは、りそなのこれまでの歩み、そしてこれから向かう道のりを明確化すること。過去に実施してきたこと、将来的に実現しようとしているものを全て洗い出しました。そうして得たエッセンスをもとにいくつかのワードを選定して提案しましたが、経営陣からは、「もっと多様な観点から考えるべき」という意見を多くもらいました。そこで、従業員の想いや、お客さまや株主がりそなグループに期待していることなども取り入れ、あらゆる観点から「りそならしさ」を表現するのに最もふさわしいワードを探しました。そして、その答えは我々がこれまで貫いてきた「金融」である、という結論に至ったのです。

しかし、これからの指針となるパーパスに、果たして「金融」を使っていいものか。大きな悩みどころでした。なぜなら、りそなグループは、お客さまに更なる付加価値を与えていくために、金融という枠組みにとらわれない組織への変化を目指しているからです。

こだわるべきところと、変化すべきところ――私たちは、その両方を取り入れた表現方法を探ることでこの問題を解決しようとしました。そして辿り着いたのが、「金融+(プラス)」というワードです。「金融」という言葉に「+」を足すことで、金融をベースにしつつも、金融以外の新しいことに挑戦していく姿勢を表しました。双方の視点を入れ込んだこの案は経営陣や社内の関係者にも好評。パーパスプロジェクトが大きく前進した瞬間でした。

Chapter 03 「りそなの歴史や価値観を言語化し、
検討を繰り返す日々でした」(H.H.)

「これからのりそな」に必要なことは。
軸をぶらさず考え続けた半年間

私がパーパス制定プロジェクトに本格的に参画したのは2022年12月。その頃には当時の上司であるFさん主導のもと、「金融+」というワードが固まっており、その先に続く言葉を探すことがミッションでした。パーパスは長すぎず端的にする必要がありますが、抽象的な言葉を多用すると意味を読み取りにくくなってしまいます。私たちだけではその複雑なバランスを整えることは難しいと考え、外部のコンサルティング会社にも協力を仰ぎました。りそなグループの歴史や大切にしてきたことを言語化して共有し、上がってきた案をもとに何度も壁打ちを繰り返す日々が続きました。

そして完成したパーパスが、「金融+で、未来をプラスに。」です。社会がどのように変わっても、お客さまのこまりごとがどんなに多様化しても、金融の枠にとどまらない発想で創造力を発揮して、様々な価値を届けていくこと、安心と希望に満ち溢れたワクワクする未来をつくっていくこと。そんな想いを込めて、 +とプラスの書き分けまでしっかりとこだわりました。

このワードだけでは伝えきれなかった想いは、パーパスに続くメッセージへと落とし込みました。こちらの文章もまた、何度も議論を繰り返し、一行ごとに最もふさわしいものを考えていきました。私が特に印象に残っているのは、「小さなことでも、大きなことでも、未来をプラスに変えていく。」の部分です。りそなグループには3万人もの社員がいますから、仕事内容は一人ひとり異なります。しかし、どんな仕事であっても誰かの未来をプラスにしていることに変わりありません。お客さまとの接点の多さや仕事の規模などに左右されることなく、りそなグループの全ての社員が「ワクワクする未来」のために自発的に行動してほしいと、ぜひとも伝えたいと思いました。

Chapter 04 「目指すのは、遠い未来にも
パーパスがしっかりと受け継がれている状態」(H.H.)

大勢を巻き込みつくり上げたパーパスが、
これから先も語り継がれるために

来たる2023年5月12日、ついにパーパスがメディアリリースされました。WEBページには、「金融+で、未来をプラスに。」の文字が。目にした瞬間、これまでの努力が報われた気持ちになりました。振り返ってみると、このような全社に関係するプロジェクトを進めるにあたって、経営陣との距離の近さに助けられました。プロジェクト始動初期から携わっていたFさんいわく、経営陣との打ち合わせは70回以上にも及んだそうです。いつも私たちが打ち合わせを持ちかけると快く承諾してくれ、フラットに議論を交わすことができました。グループのこれからを象徴するパーパス制定に携わることができて、とてもいい経験ができたと思います。

パーパス制定は無事に終わりましたが、プロジェクトの成否を分けるのはむしろここから。このパーパス起点の考え方が社内外、特に社員一人ひとりの行動に根付かなければ意味がありません。現在は、コーポレートコミュニケーション部を中心にコンテンツ制作、各種研修など、社内にパーパスを浸透させるための施策を実施中。グループ社員3万人が、個人の価値観・信念をパーパスと結びつける「マイパーパスプロジェクト」も進行しています。世の中が変わり、私たちりそなグループに求められる役割や期待が変わればパーパスの言葉はもしかしたら変わるかもしれませんが、根底に流れる想いは しっかりと受け継がれている。そんな状態ができて初めて「このプロジェクトは成功だった」と胸を張って言えるのだと思います。そのためには長い期間をかけてコツコツと続けていく必要があります。これからも発信を続けていきたいですね。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです。